おおかみくん。【雪男】 (ページ11)

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お仕事ページ11

レッスンの休憩中。それほど多くは来ないらしいマネージャーが部屋にやってきた。お疲れ様、と一声かけてからキョロキョロと首を動かしていた。先輩たちがどうかしたのかとすぐに聞きに行って、後輩たちが動けよという説教を貰っていた。そんな時。

｢大神、深澤、阿部。この3人おいで｣
｢はい！｣

もしかして、自分が知らないうちに何かやらかしただろうか。でも深澤くんと阿部くんも呼ばれているし、オレ一人だけの問題では無さそう？
最近仲が良い二人と一緒だから、と若干気が抜けながらマネージャーの元へ向かった。

｢君ら三人で取材受けてね。明日の10時には客室4で開始、大神は場所分からないだろうから二人が教えてあげて。
……大丈夫、難しいことは聞かれない。初めての自分の仕事で緊張するかもしれないけど、いつも通りを心掛けてリラックス、ね｣
｢…はい、｣

これまで沢山のジュニアを見てきたからだろうか、オレが想定していることなんてお見通しで。俯きがちだったオレの頭を撫でて目を見ながら話してくれた。それを聞いてか両隣にいた二人が背中を撫でてくれる。
優しい、嬉しい、頼りになる、恵まれている。

.

｢初仕事おめでとう！｣
｢しかも最初が俺らで良かったじゃん？｣
｢…、うん。二人で良かった｣

レッスンが終わり、帰宅時間に余裕があるためファミレスで食事をすることにした。座って早々に隣の阿部くんがわしゃわしゃと頭を撫でる。うれし、ちょ、ボサボサになる！
髪を整えつつ、二人と一緒であることに喜びを感じていたのは確かで。若干照れながらも思いは伝える。
ほんとに可愛いやつだなあ〜！と整えた髪は2つの手によってまたぐしゃりと荒れた。

これでようやく、ようやく並び立てたんだ。最初に仕事をもらったアイツには遅れを取ってるけど、仕事をしたという土俵に立てる。
こうして比べて、それを目標にすることは良くないとは自分でも思う。それを越えた時燃え尽きてしまいそうだから。でも、それでも。オレはこうして1つの安心を得たのだ。