初恋は幼馴染(青Ver.) (ページ26)

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［渡辺 side］

渡辺「ごめんな…俺、何もしてやれなかった…」

Aの手を握って話しかける。

渡辺「思い返せば、お前、違和感ありまくりだったよな…」

いきなり減量しだしたり、空元気だったり…俺に抱いてくれと言ってきたり…いくらでもAの異変に気づくタイミングはあった。それなのに俺は何も気がつけなかった。

渡辺「話を聞くタイミングなんていくらでもあったのにな…」

一緒にいたのに…

渡辺「本当にごめん…」

止まっていた涙が再び溢れてくる。

渡辺「ごめん…ごめん…」

枯れることを知らない涙は看護師さんが様子を見にくるまでずっと流れ続けた。

看護師「失礼します。お時間大丈夫ですか？」

宮舘「あ、すみません。とっくに面会時間過ぎてますよね」

時計を見ると面会時間は終わっていて、窓の外も暗くなっている。

看護師「全然。咲良さんのお母様に許可をとって家族扱いにさせていただきましたのでそこは大丈夫ですよ。ただ遅くなり過ぎてはいけないと思って…」

看護師さんには俺たちと同い年の子供がいるらしく、心配してくれたらしい。

渡辺「すみません」

看護師「こちらこそ、邪魔してすみません。でもできればお家に帰って、温かいご飯を食べてお風呂に入って寝てください。咲良さんのことを心配しすぎてお二人が体調を崩されたら咲良さん悲しむと思うので」

宮舘「そうですよね…多分怒られると思います。…翔太、帰ろう」

Aが怒る姿を想像しているのか苦笑いをしながら言う涼太に俺は頷いた。

宮舘「明日待ってるから」

地元の駅で別れる前、涼太がそう言う。

渡辺「ありがとう」

看護師さんと話して、体調だけでなく俺がこんな状態なのもバレたらAに怒られる気がした。

渡辺「稽古場入ったら滝沢くんに謝って、振付師さんにも謝って…」

ご飯を食べてお風呂に入って布団の中で明日のシミュレーションをしてから目を閉じた。