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ページ33

[咲良 side]


「あれ?涼太は?」


クラスメイトと別れて袴を返却した私。今日一日女性専用更衣室となっている建物から出ると涼太の姿が見えない。


渡辺「なんか、追加で買い出し頼まれたって」

「そっか」


今晩は家で卒業パーティーを盛大にするらしい。(さっき知った)


渡辺「行くか」


2人で大学を出て帰り道を歩く。


渡辺「4年間、おつかれ」

「ありがとう。楽しくてあっという間だった」

渡辺「バイトに勉強によくやるわ」

「そう?すごく充実してたよ」

渡辺「お前のそういうとこ本当に尊敬する」

「ありがとう」


誰かが大学生は人生の夏休みって言っていたけど本当にそうだと思う。
遊びまくれるという意味ではなくて、興味を持ったことをひたすらに学んで、試して…自由にやりたいことをやってみることができるのは大学生だけだと思う。


渡辺「…ごめんな…」

「ん?何が?」

渡辺「その…卒業までに…違う意味で迎えにこれなくて…」


恐らく私が入院してるときに言っていたデビューしたら…のことを言っているのだろうとすぐに分かった。


「別に期限は決めてないじゃん。翔太がアイドルの時点で婚期が遅れるのは覚悟してるよ」


それに私も働きたいしねと言うと翔太は気まずそうに笑う。


「それよりさー私ずっと思ってることがあるんだよねー」

渡辺「なに?」

「そもそも私たちって付き合ってるの?」


高校の卒業式後に好きとは言われたけど付き合ってとは言われてない…入院中にお母さんに娘さんをください的なことを言ったときも、その後特に何かを言われたわけではない…
私達は両思いだということは分かってるけど、関係は幼馴染のままだ。(デートとかもしたこと無いしね。)


渡辺「それはさ…言わなくても分かってんだろ…」

「えー言われないとワカンナイー」

渡辺「…あーもうっ!」


棒読みでワカンナイーと言うと立ち止まって頭を抱えた翔太。


渡辺「…好きだよ。お前のことが…だから…付き合って?」


顔を真赤にしてそう言ってくれた翔太が愛おしくて、翔太に飛び込む。


渡辺「うおっ」

「好き。私も。大好き。よろしくお願いします!」


返事をすればすごく嬉しそうな翔太。


渡辺「俺、頑張るわ」

「うん、いつまでも待ってる」


2人してホクホクしながら帰ったら付き合ったのがバレたのか涼太と翔太のママにめっちゃからかわれた。
私のお父さんは娘がぁーと泣いていた。

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作者名: | 作成日時:2024年4月6日 18時

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