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◇◇◇
[渡辺 side]
2019年8月8日ー
ジェシー「僕たちから皆さんに伝えることがあります」
この日俺達はデビューすることを発表した。
ここまで、本当に長かった。
辞めようと思ったこともあった。もう無理だと思うこともあった…けどやっとここまでこれた。
渡辺「ありがとう」
そう客席いるAに向かってつぶやく。
実はデビュー発表を目の前で見てほしくて、スタッフさんに我儘言ってアリーナ席のチケットを用意してもらった。そして、Aに絶対に来てくれとチケットを渡した。
最初は自名義で当てるから!と押し返されたけど、どうしても目の前が良くて無理やり押し付けた。
「おめでとう」
Aは頬を濡らしながらそう返してくれた。
ライブが終わり帰宅。
自分の部屋のドアを開けると破裂音とともに紙吹雪がふってきた。
渡辺「お前なぁ(笑)」
夜中に騒がしいよと言えばママとパパには許可貰ってるもんと笑うA。
「改めて、デビュー決定おめでとう」
渡辺「ありがとう」
「目の前で見れてよかったよ」
あんな近くで初めてライブ見た!と興奮気味に感想を語られた。
渡辺「A…」
Aの興奮が一度落ち着いた所で名前を呼ぶ。
「なに?」
渡辺「あのさ…デビュー決まったし…その…結婚しない?」
あの日の約束を叶えるために勇気を出してプロポーズした。
「…アホか」
俺の頭にチョップをかまして言うA。
渡辺「は?なんで?」
約束したじゃん…
「デビュー決まっただけで、まだデビューしてないでしょ?しかもデビューしてそうそう結婚とか、ファンに刺されるよ?」
渡辺「え、でも約束したじゃん」
「約束したけど今じゃない。今はファンを一番に考えるべきだね」
スタートダッシュで失速してどうすんのとAは続ける。
Aの言いたいことは分かる。分かるけど…ここまで俺が頑張ってきた理由…
「安心して。私はどこにもいかない。ずっと翔太のこと待ってるから。だから、落ち着くまではこのまま…ね?」
渡辺「分かった」
「よしよし〜」
いつもなら頭を撫でられたらイライラするけど、今日はなんかいいや〜と思ってしまった。
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作者名:雪 | 作成日時:2024年4月6日 18時